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   低強度紛争防衛   
   

   
                                             未発表 1999年  
   

もう、4〜5年も前のことになるかな。インターネットのうえで遊んでいるうちに、ペンタゴンのサイトに迷い込んだことがある。そこに「戦略的評価 インターネット」という論文があったので、物珍しさからダウンロードしてみた記憶がある。
 この論文は「特殊作戦と低強度紛争防衛室」という部署のスタッフが書いたもので、低強度紛争とは、カルトやテロリストの集団との争いを指すようであった。
 論調はこんなものだった。在来のマスコミであれば、権力がその気になれば、そこで報道されるコンテンツを、まあコントロールできる。だが、インターネットではそれが困難。
 だから、大衆はマスコミ情報の真否をインターネット情報で確認できる。もう、マスコミにはだまされない。あるいは、社会から無視されている小集団にとってみれば、こんなに便利なメディアはない。かりに公序良俗に反していても、自分の主張をインターネットに自由に流すことができる。権力側かち見れば、なんとも厄介なメディアが出現した。
 このように悲観論を述べたあとで、ペンタゴンは近未来にインターネットを濫用するだろう反社会的な小集団の名前を列挙していた。四半世紀前にペンタゴンが補助金を出して作ったアルパネットの後つぎが、そのペンタゴンを困らす鬼っ子に成長してしまったということだ。皮肉な話ですね。
 ただし、このペンタゴン報告の見逃していたことがある。インターネットを操つるには、なにも小集団でもある必要はない。それは、たった一人でも十分、ということだ。
 話題を移す。最近のホームページ騒動だが、世界的な巨大企業がたった一人のユーザーに翻弄されてしまったということになる。どちらに理があるのかは、部外者には不明だが。
 念のためにいうが、筆者は今度の事件を引き起こしたユーザーをカルトなどと決めつけているわけではない。
 だが、この事件は悪意ある人々に、官庁や大企業を手軽に攻撃する方法を示唆してしまったことにもなる。これだけは間違いない。                   

   
    名和小太郎   書評の背景(14)                          トップペ−ジへ   「書評の背景」リストへ   次へ   前へ