pref11

   
   『ゲノム情報はだれのものか』 岩波書店 2003年   
   

   
                                                    『NIRA政策研究』 18巻1号 2005年 
   

特許権はそもそも「物」に関する発明を保護するために設けられた制度である。だが20世紀になると、その「物」に生物を含めるべしという要望がでてきた。それは最初は特許とは別に育種家の権利として認められた。
 70年代以降になると遺伝子操作技術が現れ、その成果について特許の付与が求められるようになった。その特許はまず微生物に認められ、つ いには実験動物のネズミに及んだ。
 この動物特許をめぐり、それが社会の公序良俗に反しないのかという批判が出された。論点は、宗教、環境保護、動物愛護、農業など、多くの分野にわたった。これは80年代に米国に始まり、90年代にヨーロッパに移った。
 並行してこの時期にヒト・ゲノム計画が始まる。この計画をめぐってゲノム情報を公有にすべきなのか、特許によって私企業のなかに封じ込むのか、研究者のなかにも大きい対立が生じた。これらの論議はその戦略的な価値から国際政治のなかで翻弄された。                   

   
    名和小太郎                                        著作リスト へ           トップペ−ジへ